過活動膀胱
過活動膀胱とは、「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い(頻尿)」「急にトイレに行きたくなり、我慢できずに尿が漏れてしまうことがある(尿失禁)」などの症状を呈す疾患です。
加齢とともに増加する病気です。原因には神経的な問題の他に、膀胱や前立腺の病気、糖尿病などの生活習慣病があげられます。
問診・検尿・残尿検査などから大まかな原因を予想し、必要に応じて超音波検査、尿流検査、膀胱鏡検査などの専門的な検査を行うことで、的確な診断ができます。
治療は、まずは生活指導と薬の内服治療を行います。薬の副作用なども確認しながら治療します。内服薬の効果がない場合には、ボトックス療法が可能になりました(保険適応)。
過活動膀胱とは
「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い(頻尿)」「急にトイレに行きたくなり、我慢できずに尿が漏れてしまうことがある(尿失禁)」などの症状を呈す疾患です。
頻度
日本では、過活動膀胱は40歳以上の男女の14.1%、すなわち約1,040万人の方が過活動膀胱に罹患していると言われています。その約半数が尿失禁(切迫性尿失禁)を伴うようです。
原因
①脳の神経疾患(脳血管障害、パーキンソン病、多系統萎縮症、認知症など)
②脊髄の神経疾患(脊髄損傷、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、脊髄腫瘍、頸椎症、後縦靭帯骨化症、脊柱管狭窄症など)
③その他の原因(前立腺肥大症、加齢による膀胱機能の変化、糖尿病、動脈硬化、脂質異常症、原因不明(突発性)など)
検査
過活動膀胱は症状に基づく病気ですので、自覚症状の評価が最も重要です。尿意切迫感の症状があれば過活動膀胱と診断されますが、頻尿や切迫性尿失禁を伴っていればより確実です。
過活動膀胱の原因になる病気が隠れていないか、検査します。まずは問診・検尿・残尿測定から大まかな病気を予想し、必要に応じて専門的な検査を行い、患者様の状態を把握します。
過活動膀胱をきっかけに、泌尿器がんなどの病気や、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が見つかったり、食生活の乱れが分かることがあります。
当院は泌尿器科専門医、糖尿病専門医、内分泌専門医が診療しますので、患者様に適切なアドバイスをさせて頂きます。
①詳しい問診
過活動膀胱の原因は様々です。専門医が丁寧に問診することで症状の原因を見つけます。
②排尿日誌
1日を通じて、排尿した時間とそのときの尿量、飲水量などを用紙に記入して頂きます。
③検尿
血尿、膀胱炎の有無、尿の濃さなどを確認します。
④残尿検査
排尿後に膀胱の中に残尿があるか調べます。残尿があると頻尿の原因になります。
⑤尿流検査
専用のトイレで排尿してもらい、尿の勢いを調べます。膀胱の収縮する強さを調べることができます。
⑥超音波検査(エコー)
腎臓や膀胱に結石やがんなどがないか調べます。
⑦尿細胞診
尿の中に癌細胞がまじっていないか調べます。
⑧膀胱鏡検査
過活動膀胱の原因になる膀胱癌や膀胱結石、間質性膀胱炎などを調べます。
治療
まずは飲水の仕方、食生活などの生活指導を行います。
病状が強い場合は、薬の内服治療を行います。薬には副作用もありますので、残尿や膀胱機能を確認しながら治療を行います。
内服薬が効果がない場合は、ボトックス療法ができるようになりました。当院でも施行可能ですのでご相談下さい。
1.行動療法
①生活指導
水分の取り方の指導、カフェインやアルコールの制限、便秘の改善、下半身の冷えの解消。
②膀胱訓練
尿意をもよおしても、できるだけ我慢して、膀胱の容量を広げる訓練です。
③骨盤底筋体操
骨盤底筋を意識的に締める練習をして、急な尿意に対応できるようにします。
パンフレットを用いて指導します。
2.薬物療法
①β3受容体作動薬
ベタニス® 、ベオーバ®
②抗コリン薬
バップフォー®、デトルシトール®、ベシケア®、トビエース®、ステーブラ®ウリトス®、ネオキシ®テープ(貼付剤)など。
③漢方薬
牛車腎気丸
3.手術療法
①ボトックス療法(ボツリヌス毒素の膀胱壁内注入療法)・・・保険診療
薬物治療で改善が得られない過活動膀胱(切迫性尿失禁)に対して行います。尿道から膀胱に内視鏡を挿入し、膀胱壁にボツリヌス毒素を注入します。膀胱壁に注入されたボツリヌス毒素は膀胱の不安定な収縮を抑えて切迫性尿失禁を改善します。
日帰り手術が可能です。ご希望の方はご相談ください。
②電気刺激・磁気刺激
電気刺激療法(干渉低周波療法)や磁気刺激療法は、電気や磁力により骨盤底の筋肉や神経を刺激するもので、切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁に対する有効性が示されています。