無痛性甲状腺炎
甲状腺が破壊されて血中の甲状腺ホルモンが上昇することで、
動悸や息切れなどの甲状腺中毒症の症状が出現します。
無痛性甲状腺炎は、免疫系が誤って甲状腺組織を攻撃し、炎症を引き起こす自己免疫疾患である
慢性甲状腺炎(橋本病)や寛解バセドウ病の経過中に発症することがある疾患です。
出産後数ヶ月でしばしば発症することもあります。
「無痛性」と呼ばれるように甲状腺の痛みはありません。
症状は?
動悸、息切れ、疲れやすさ、手の震え、体重減少、汗をかきやすい
など甲状腺機能亢進症の症状があります。
亜急性甲状腺炎とは異なり、発熱や首の痛みはありません。
最近、なんとなく動悸がするな、疲れやすいな・・・という方、
また、橋本病がある方は、甲状腺ホルモンの採血検査をうけて
みられることをお勧めします。
治療は?
原因がわかれば、経過をみることが多いのですが
動悸などの症状の強い時は、β遮断薬など症状をやわらげる薬を
投与することがあります。
甲状腺機能低下となったときに、疲労感や下肢浮腫などの症状が強い時は
1~2ヶ月間甲状腺ホルモンを投与することもあります。
経過は?
甲状腺の機能は一時的に亢進しますが、多くの場合、
その後に甲状腺ホルモンが低下する時期を経て、数ヶ月で自然に回復します。
ごく少数の方は、甲状腺ホルモンが低下したままになることがあるので
甲状腺中毒症の症状が改善した後も甲状腺ホルモンの経過観察が必要です。