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男性の更年期障害(LOH症候群)

男性の更年期障害(LOH症候群)

女性の更年期障害は一般的ですが、男性にも、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)とよばれる、更年期障害があります。

加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)は、男性ホルモンの低下により、精神状態が不安定になったり、異常な発汗やほてり、めまい、性欲減退等の症状が現れる病気です。

まずは内科や泌尿器科の病気がかくれていないことを確認したうえで、その症状と男性ホルモンの値から総合的にLOH症候群を診断します。

症状

  • 抑うつ状態になる
  • イライラする
  • 疲労感が抜けない
  • 異常な発汗がある
  • ほてりが止まらない
  • めまいや頭痛がすする
  • 良く眠れない
  • 性欲があきらかに減退した
  • 勃起しなくなった

男性ホルモン(テストステロン)の減少で起こる代表的な症状にED(勃起障害)があります。60歳代の日本人の60%以上にみられ、珍しいことではありません。女性は閉経によって生殖機能がなくなりますが、男性は80歳、90歳になっても勃起します。EDは、かつては精神的な原因や、糖尿病などの生活習慣病が悪化して起こるとされてきましたが、近年"血管病"としてもとらえられています。それは、勃起のメカニズムが、血管の機能と深く関係があり、血管の健康が失われる(動脈硬化が進み、血流が悪くなる)とEDが起こりやすくなるためです。陰茎の動脈は非常に細いため初期の動脈硬化でも影響が現れやすく、EDは【最初に自覚できる生活習慣病】だと考えられます。EDは男性の健康のバロメーターになるわけです。

加齢男性で男性ホルモン(テストステロン)値が低い場合、抑うつ状態、性機能・認知機能の低下だけでなく、糖尿病や肥満、メタボリックシンドローム、骨粗しょう症、心血管疾患(動脈硬化・血管内皮機能の低下)などに関係するとの研究結果や、男性ホルモン(テストステロン)値の高い人のほうが長寿という報告もあります。また、男性ホルモンの減少は認知症やサルコペニア(筋肉減少症)とも関連します。

男性ホルモンは多くの病気のリスクから身を守ってくれる、大事なパートナーといえそうです。

男性ホルモンは男性の健康維持に働いています。もし男性更年期障害やEDを自覚されたら、生活を見直し、改善するのはもちろん、定期的に健康診断や、前立腺腫瘍マーカー検査(PSA検査)を受けるなど、ご自身の健康に、よりいっそう気遣うようにしましょう。

診断

上記の症状があり、血液検査で遊離型テストステロンの値が7.5未満の場合、加齢性腺機能低下症(LOH症候群)と診断されます。

問診

男性更年期障害の診断は、AMSスコアという質問票を用います。その結果から、男性更年期障害の有無や症状の重症度のレベルを診断します。

採血

まずは疲労感をきたすような疾患の採血を行い、他の内科疾患が隠れていないか調べます。

男性ホルモン(テストステロン、遊離テストステロン)の値を調べます。

男性ホルモン補充療法を行えるかどうかの判定に必要な採血を行います。糖尿病、脂質異常症、貧血の程度、肝臓機能、腎臓機能などを測定します。また、男性ホルモンを補充すると前立腺がんを悪化させますので、前立腺がんが潜んでいないか調べるために前立腺腫瘍マーカー(PSA)の測定も行います。

超音波

超音波検査を行い前立腺肥大症がないかを確認します。男性ホルモンを補充しますと前立腺が肥大することがあるため、定期的に超音波検査で前立腺の容積を測定します。

治療 

遊離テストステロンが7.5pg/ml以下の場合、男性ホルモンの補充を行います。男性ホルモンの値が正常であっても、男性ホルモンを補充することで症状が改善することがあります(自費治療)。男性ホルモン補充でも精神症状などが改善しない場合は、心療内科等の受診をお勧めします。

職場などのストレスのチェックや睡眠、運動や食事の習慣の改善だけでも症状は改善することがあります。漢方薬やED治療薬、抗うつ薬などが処方されることもあります。

漢方薬

症状に応じて漢方薬を処方致します。

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

 

男性ホルモン(テストステロン)補充療法

エナルモンデポーという注射剤と、グローミンというクリームを使用しています。

保険が効く場合もありますが、自費治療になります。テストステロン治療認定医が対応いたします。

①エナルモンデポー125㎎(注射)・・・・2週間に1回筋肉注射

 自費診療価格:エナルモンデポー125㎎ 1回:2000円

注射の間隔は2週に1度です。治療効果が出てきて症状が改善してきた場合には、治療間隔を延ばすこともあります。注射剤は即効性がありますが、ずっと続けると副作用も強くなるため、半年で一旦中止して経過をみます。

②グローミン10g(クリーム)・・・・・・毎日1~2回塗布(1か月で1~2本) 

 自費診療価格:グローミン10g  1本 :3800円 

グローミンクリームはテストステロンが低用量のため効果はマイルドですが、 使い続けても問題ないと考えております。1本ご使用後に1週間以上の休薬期間を設ければ、より安心です。

【ホルモン補充療法の注意点】

  • PSAが2.0以上の場合は前立腺がんの除外が必要です。
  • 当院ではPSAが2.0以下の場合は補充を行います。
  • PSA2.0〜4.0の場合でも前立腺がんの可能性を除外できれば補充療法を検討します。

【ホルモン補充療法の副作用】

  • 肝機能障害
  • 多血症
  • 睡眠時無呼吸症候群の悪化
  • 造精機能障害(精巣の萎縮)
  • ニキビ
  • 女性化乳房
  • 気分や行動の変化
  • 髪の毛の減少

*テストステロンには造血作用があるため、血が多く作られすぎる多血症(ヘモグロビン値の上昇)になる可能性があります。放置すると血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞につながる恐れがありますので、治療中は定期的に採血して確認する必要があります。

 

* 泌尿器科専門医、テストステロン治療認定医が対応させて頂きますのでご相談下さい。

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