「6月4日~10日 歯と口の健康週間」です。歯周病は糖尿病と深い関係があります。
6月4日から10日は、歯と口の健康週間です。
糖尿病と歯周病は、密接な関連があります。
この機会にご自身の口腔ケアを振り返ってみましょう!
1.歯の健康習慣の重要性とは?
ご高齢の方の健康寿命を考える上で、歯の健康は非常に重要な要素です。
歯の状態は、食事摂取や会話などの日常生活に直接影響を与えるだけでなく、
全身の健康にも深く関わっています。ご高齢の方の場合、ご自身の歯を保つことが、
噛むこと、嚥下機能の維持につながり、噛むことは認知機能の維持にも寄与します。
健康な歯を保つために、歯周病のセルフチェックをしてみてくださいね。
2.歯周病が引き起こす病気のリスクは?
さらに、歯の健康は全身の健康にも密接に関連しています。
歯周病は、心臓病や糖尿病、呼吸器疾患などの慢性疾患のリスクを高めることが知られています。
口の中の細菌や歯周病の炎症物質が血流を介して、炎症反応が全身に広がり、
疾患の発症や進行を促進する可能性があります。
歯周病があると、糖尿病は1.98倍1)、がんは1.24倍2)、脳梗塞は1.63倍3)、
狭心症や心筋梗塞の冠動脈疾患は2.11倍4)に発症リスクが増えます。
3. 糖尿病と歯周病の相互関係とは?
糖尿病がある方は、糖尿病がない方と比べて、歯周病に罹患している頻度が
約2倍と言われています。
歯周病による口腔内の炎症が慢性化すると、インスリンの効果が低下し、
血糖値の上昇を引き起こすことにつながります。
とりわけ、糖尿病の治療の指標であるHbA1cが7%を超えた場合、
糖尿病の病型に関わらず、血糖コントロールが良好な方や糖尿病がない方と比較して、
歯周病の進行が有意に促進されることが明らかになっています。
このように、糖尿病と歯周病は深い関連があるため、
歯周病は糖尿病の合併症の一つと考えられるようになっています。
4.歯の健康習慣と糖尿病予防における重要なポイントは?
歯の健康は糖尿病患者さんを始めとする皆さんの健康寿命に直結しています。
歯の健康を保つためには、予防歯科の重要性は大きく、
定期的な歯科検診や適切な口腔ケアが必要です。
適切な歯磨きやフロスの使用、バランスのとれた食事の摂取、
禁煙などの生活習慣の改善も重要です。歯の健康を維持することは、
快適な口腔環境を保ち、健康寿命を延ばすための重要なステップです。
また、繰り返しになりますが、歯周病と糖尿病は密接に関連するため、
歯周病のケアのためにはHbA1cのコントロールを良好に保つことも大切です。
ぜひ、この機会に、ご自身の口腔ケアを見直してみてください。
1)Dominique SM. et al. Journal of the National Cancer Institute,
2018:110(8):djx278
2)Soskolne WA. et al. Ann Periodontol 6, 2001 : 91-98
3)Lafon A. et al. Eur J Neurol, 2014 ; 21(9):1155-61.
4)Satomi N. et al. Journal of Public Health, Volume 37,
Issue 4, 1 December 2015:605‒611,