性器ヘルペス
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)と2型(HSV-2)の感染による性器の疾患です。
HSV-1は口唇に感染し口唇ヘルペスの原因となるウイルスで、性器にも感染します。
HSV-2は性器にのみ感染するウイルスです。
性行為により感染し、HSV-1はオーラルセックスでも感染します。初感染例はHSV-1によるものが、約70%とされています。
症状
発症には、➀初発(HSVに初めて感染し始めて発症)と、②再発(すでに潜伏感染していたHSVが再活性化し発症)の二種類があります。
初発
初発には、①初感染で症状初発と②非初感染で症状初発の2パターンがあります。
①初感染で初発・・・感染してから症状が出るまでの期間 : 2-10日間。激しい症状を伴うことが多いです。
②非初感染で初発・・初感染時は症状がほとんど出ずに潜伏。その後ウイルスが何らかの誘因で再活性化し、初めて症状がでる場合です。症状は比較的軽度な場合が多いです。
男性
まず性器にかゆみや違和感を伴った数mmの複数の水泡がでて、2-3日後に水泡が破れて、強い痛みを伴う潰瘍になります。
1週間くらいで最も重症化します。その間、発熱をしたり、足の付け根のリンパ節がはれたり、排尿時に痛みを伴うこともあります。
アナルセックスによる感染では、肛門周囲や直腸粘膜に病変がでることもあります。
女性
症状は男性よりも強いことが多い。
外陰部に水泡や潰瘍ができ、激烈な痛みを伴い、ひどい場合は子宮や膀胱にまで及びます。
高熱や足の付け根のリンパ節の腫脹と圧痛がみられます。
症状が強い場合は、痛みにより歩行や排尿が困難になる場合もあります。
再発
性行為や疲労、風邪などで免疫が低下したときに再発します。
症状は、男女共にはじめて感染した時より軽いことが多いです。
多くは1週間以内に自然治癒しますが、頻繁に再発する場合、心身ともにストレスとなり生活の質が低下しますので、再発に対する治療も保険適応となっています。
診断
➀専門医による性器の視診
外陰部に浅い潰瘍や水泡を認めた場合は性器ヘルペスを疑います。
②病変の分泌液に対する抗原診断法(約15分で結果がわかります)
HSV-1とHSV-2の判別はできません。病変が小さい場合は陰性になる場合があります。
治療
初発
初発病変は早期に診断し、十分量の抗ヘルペス薬を投与することで潜伏するウイルスの量を減らし、再発の回数も減らすことができるといわれています。
パラシクロビル 1回500mg 1日2回を、十分量の薬の投与によりウイルス量を減らすことを目的に10日間の内服をお勧めします。
再発
①再発時内服
再発例は症状が軽く1週間以内に自然治癒することが多くいため、再発してすぐに治療を開始することが重要です。
再発が年3回以上で、再発の初期症状を正確に判断できると医師が判断した患者様には以下の通りに処方致します。
ファムシクロビル2000mg(8錠)をあらかじめ処方しておき、再発時速やかに1000mg(4錠)を内服し、その12時間後にさらに1000mg(4錠)を内服します。
この治療により治癒期間を短縮することができます。
②再発抑制療法
再発させないための治療法です。年6回以上再発を繰り返す患者さんが対象になります。
パラシクロビル 500mg(1錠)を毎日内服し、毎月クリニックを受診して再発の有無を確認し、薬の継続、中止、増量を決定する治療法です。
この治療をすることにより、セックスパートナーへの感染を低下させることができます。